忍法分身の術

たまに忙しかったり、自分が分裂しそうで、もう一人自分が欲しいって思うときもある。相手に対してももう一人いたら妬かなくてもいいのかもって思えたり(笑)都合の良い考えをしてしまったりねぇー人間色々ですよ。かたやポルターガイストだっけ?この世に自分は三人いて全員にあったら死んでしまうなんて、三つ子の魂なんとかってあるし。人間、陰と陽の二面を兼ねてる。自分が三人になるなら、陰の自分と、陽の自分それに、中間の矛盾した自分になるんだな。となったら司令塔は矛盾した自分である、おいおい大丈夫かよ?矛盾してる奴が舵をとっても。となると、悩みは陰のやつに任せて、陽は思いっきり幸せに人生を楽しむ、悩まない。陰の奴はそれでいいのかって?もの凄いネガティブなやつだから、最早悩みのある状態がシラフであり、心地よさも感じてる・・・はず。あぁここで気持ちに迷いがあり揺らいでる自分も矛盾した人生の船長。まったくもう、陰の奴は凹っぱなしだ、ありもないことを恐れては嵐だー巨大鯨に呑み込まれる、大王イカがぁ!なんて調子。たまらんそんなやつは部屋に閉じ込めておきたい。でもご飯はちゃんと運ぶよだって片割れ?三割れだもん。まぁまぁ陽の奴に飯を運ばせてみようかと思うが、不安だ。何しろあいつは楽観的過ぎて陰の気持ちなんかわからず、おだてたてた上、結局見捨てるように傷つけて帰ってくるに違いない。不安だ。でも陰にも少しはポジティブな視野は必要だ。あぁそこで気付く、俺と陽は閉じ込められ、悩み苦しむ陰の野郎をだましぬく計画に。陰菌なやつはきっとアソコもイカ臭い、だからきっとイカ好きだ。でもあいつの恐怖の原因は大王イカである。んーうまいのかなー?大王イカ、噛み切れるのか心配だ。まぁそれはさておき、こんな計画がでっちあげられた。嵐で大王イカが死んでそれの身を今さっき調理したんだがすっげー旨いぞと陰に食わしてやろうと。恐怖のイカは嵐で死に絶え、今俺らは嵐とイカの恩恵を受けているんだと伝えたいの一心にばかげた嘘をでっちあげ、普段旨いもののことしか考えてない陽な奴は、すっげー余裕な心で一瞬のうちに大王イカを調理したようなもんを作り上げ、まぁ中には陰の心の闇のようなイカ墨パスタも、ナイーブな神経の細さのようなイカ素麺やら、さすがだココまでユーモアに皮肉に溢れた料理をつくる陽はいいやつだ。だてに陰に悩み役を押し付けて無いな。もうこっちもへとへとだ、あの悩みっぷりは陽だって疲れちまう。腹が減っては戦はできぬ、いや食べなきゃ死ぬ・・・あぁ時間が無駄にかかっちゃったよ、陰もそろそろ腹空かして、いくら悩みすぎで胃潰瘍やら食欲不振に不眠だろうがこの料理みたら食べてくれるだろうと期待。まぁまぁ案の定、陰はかぶりついた、最初はひるんだものの、一口目を皮ギリにガツガツ。終いには陽の奴が、どーだ、このイカ墨おまえの心みたいに黒いぞ〜なんて皮肉も飛び出し。陰が笑った瞬間だ!俺達三人は一つの身体に戻った。そして俺は一つ重要な事を忘れていた、陰の心配要素の巨大鯨にふれてなかった・・・もう遅い、陰の不安な気持ちに襲われる。あぁもう一難さってまた一難、悩みは耐えず。しっかも自分に嘘なんか吐けない。ひぃー!やっぱうまくいないんだなぁー全部は。でもきっとユーモアに溢れた陽が俺を救ってくれる。いき過ぎる前に陰は止めてくれるだろう、そして真実を掴むための時間をくれるだろうに。大鯨に呑み込まれたら嘘吐きなピノキオに会ってからかってやる、人間になりたいなんて夢も叶うといいな。