犬が居ぬ

お気楽に生きてみるのも心地いいかもしれない。アイデンティティーも捨てて、面倒なことは最低限、最良ではなくマシと思えるものに手を伸ばして、スイッチはオフ。常にマナーモードくらい。腹が減ったら食いたいものを町で評判の店で食えば一日は幸せで、全てが上手くいく夢をみて寝て起きてお気楽に一日が始められる。夢が潜在意識の理想なんて知らず、夢だもんねなんていいながらアホ面して歩いて高いコーヒーに文句をつけず冷めるほどの遅さで飲む。企業の戦略とも知らず新しいものにばかり手を出してすぐ忘れて、馬鹿なことを繰り返す。麻痺したら勝ちよ、世の中の犬として生きていける。でもおいらは飼い主のいる犬が、孤独と自由をもった世間でいう負け犬より優れて見えないんだよな。たとえ遠吠えが届かなくても、どこへでもいけるから、近くまでいって囁くことだってできる。お手とかくだらない芸もしなくていい、くだらないことには爪を立てたっていいんだ。