エリエリレマサバクタニに寄せて

そこに音楽が、いや音と言うものが存在した限り、記憶は呼び起こされる。
絶望は澄んだ心に死の影を忍ばせる。逃げるほどに肥大化する影。悲しみは音楽を欲する。共鳴する音に、飢えた影が喰らい付く。満たされるまで影は首を絞め付ける。
ノイズと狂喜が絶望の闇と共鳴する、その先に見えるのは、闇ではなく、かつて絶望の果てに消えていった人々。彼らの最期は絶望呼び醒まし、それ以前の大切な時間を押し潰していた、絶望と共に押し込まれていた希望、あるべき姿の記憶のカタチ。
掻き鳴らされたギターと共に鳴り響くレコードされた音が響きわたり、その向こうでは彼らが微笑む。
そして生きる人々は、毎日に微笑みかけるのだ。小さな幸せ達に、そっとやさしく、鳥の歌声のように微笑みかける。
音楽はどこにでもある、たとえそれが雑音のようでも、人の心が生きている限り