涼虫

夏の夜、蝉の騒がしさも去り、ぼんやりと干上がった、陽炎は空を覆い、月と星がゆらゆらと夜の夢を誘う。
夜が来ると夏が終わる悲しみの片鱗が脳裏を横切り、夏の焼けた太陽に影を落とし、反復し遠のいていく虫の声。
暑苦しい唄が、そっと切なくなる。
期待するだけ期待して、その日、終わりしか見えぬ、今に今という感覚が息を切らしてる。今に窒息した、呼吸は未来をも吸い尽す。