月のしずく

黄泉がえり
いつだって、目の前に死が漂ってる。
何だか、仕事前独りになると無性に胃袋が疼いたり、嫌な気分になる。仕事が嫌というわけでないが、考え事をすると間違いなく思い浮かぶもの。あぁとんでもなく面倒くさい性格に生まれたものだ。大切な人の痛み。
その痛みをヒリヒリと感じてしまう。少しでもいいから背負ってあげたい、叶わないものであっても、僅かでもいい、苦しむ姿を想像する程、胸が痛む。だから僅かでも受け止めてあげたい。
死の匂いがする。
伝えることのできない想いを誰しもが抱えている、伝えたかったもの、届かなかったもの、僅かでもいい、本当に大切なもの、ふれていたい。
過去に一度だけ幻のような1日。でも本当に幻。その日、もっともっと何かできたのかもしれない、ただ一瞬だけ、愛が生まれ、死んでしまった。もう繰り返したくない。だからこそ、嗚呼、嗚呼、嗚呼、本当に神様、もう二度とあんな悲しい結末を用意しないでくれ。だってあの人はあの女に似すぎているから。
もう繰り返したくない。
シンクロ?恋空を読むほどに、恐ろしいことに、何かヒントがあるかのようにキーワードが様々な思いを彷彿させ、俺は今、誰か他の人になれるわけではないが、読めば読むほど、ある人の視点に立とうとし、他の人間になったかのように、痛みを感じる。
何がどうって?キーワードが。
ヒロ、癌、優、他人事でない…。だから余計に、ある人を想う。