空腹ブランクフルト

あの白い雲を越えると雨がふらないらしい、ただ青い空で魚が迷うような、モグラがウインクするような場所なんだってさ。そこにいれば都会の汚い空気で汚れた細胞が紫の光に殺されて、赤く黒く腫れ上がって、吐いても胃の中でレントゲンに白い影を落とす、かわいい悪魔のベイビーが産まれるんだってさ。モノトーンに漂泊統一された世界で生きるのは毎日、米を食うのと同じ事で、亀が雨のなか、尻尾をまいて音速のステップでチーターに噛みついたまんま死刑台で首つる、少女の穴にぶら下がって、一秒一秒正確に時を刻めば、一瞬と永遠の狭間に命が産まれる。それが細胞の死ぬ痛みと産まれる快感で、イカレタ中毒者の心臓をただ叩き起こす、夜が破裂して朝が縮めば、月の引力で世界が歪んで、数学者の最大の謎がとける。方角は真南にキリストの足跡を辿ればそこはただの俗世界、ただ浮世の雨季に雪がまうだけのズレ。そんなのはアイスで当たり棒を引く程度。