カニカマ

カニカマは爆発的に売れました、フェイク商品だけど、本物の蟹より好評っつうか、みんなから愛されました。そうなると、世の中面倒な事が増えるようで苦労されたよう。
偽者ならスグに壊れてしまうなんていうけど、カニカマはきっと本物の蟹より身のほぐれっぷりはしぶといぜ。
本物はすぐ腐るぜ、すぐ腐る、臭いぜ、だから蟹が苦手なんだ、新鮮じゃないとひどい、鮮度の落ちたものばかり食べていたので、蟹好きの大多数の人間を疑った。
鮮度が大事な本物の蟹、すぐバラバラになって、すぐ生臭くなって、ひでぇなそれでいて高価なんだよ。でもきっとそこにある儚さや、一瞬の幸せな味に人々はカニカマではなく本物だけど価値を見出し、大切に愛するんだろう。
蟹の甲羅が熱を浴びると、鮮やかな赤になる、その色はとても綺麗。きっと蟹が残すのはそんな鮮やかな赤だけど。同じ甲殻類の蠍は毒を残すのだろう。あぁ毒だぜ腐ってもいねぇのに毒だ、死に至らしめるかもしれない毒。生きているのに毒を背負ってるんだ最悪だろ?油でカラっとあげても、食わず嫌いされる、変態が好んで精力だなんてかじりつく。つねに半分馬のような奴に狙われてる。きっとあいつらは変態だな。
たまには羊の毛皮に包まれて眠りたい、魚のように泳いでいたい、砂漠でひっそり暮らすのは喉が渇く。ヤギの乳を飲ませておくれ。双子のように分りあえる相手にそばにいて欲しい。そんな蟹とか毒の入った蠍なんか食い物と考えずに、牛でBBQでもしようぜ、みんなで楽しく。いや食うのが嫌なら、せめて牛のようなペースでいいゆっくりでも前へ進みたい。毒なんかなくても、獅子のような百獣の王の力でやさしく生きていたい、自分の大切なものは守れるように。死んだらきっとホルマリンの水瓶にぶち込まれて理科室の臭い豚箱のようなケースにぶち込まれて笑い者にされるんだ、何しろこんなちっぽけな体だからな。別に乙女心みたいに変なロマンスとかを天秤にかけて毎日夢見心地でいたいわけでもねぇから。
せめてもう少しまともに、生きたいだけ。