失うものなど残っておりませぬ、でも心の自由だけは失えなませぬ。他はご自由に奪ってください。決してマイナスにはならない、究極のゼロでいたい。心のなかに蝶がひらりと迷いこんできた、それはずっとそこに止まっていたのかもしれない。ただ心がさ迷っていたのかもしれない。飛べない蝶は、もの悲しい、美しい夜明けのような鮮やかな青い羽根は、黒く濁ってしまった、振り落とすにも重く不自由な蝶の羽根に神の吐息がやさしく春の風のように吹いたら嬉しい。その羽根音が、心にバイブをもたらして生きていると実感する。
異常な程の自由を今、欲す、飛べない震えが、増幅し、音速の刃となり、キリキリと体内で掻きむしる。この痛みと不快感に涙す、悲しみの雫が空を渇望する羽根を少しでも癒せたら。悲しみの雫とバタフライエフェクとが共鳴し、そこに光と水の湧き出る泉が生まれたら。