異邦人

here-there2006-07-06


遠いシアトルの街を思い出して、コーヒーの香りとミルクのほのかな甘味がスモークと共に体内に消化されていく。
遠く遠く逃げるように、この空間が心地いい。緑と小さな建物に囲まれたスローライフが息づく街で、この確かな安らぎがあなたにも届きますようにと。ふと思う。
あなたの痛みが語りかける日々、それは狭い部屋の中で何度も暴れまわり息を、体を締め付けていた。動物園にうずまく狂喜と似てる。もっと大きく広く、小さな自分を攻める痛みがこの喜びをただの鎮痛剤という冷たい言葉の響きを伴っていた。あなたに確かな大地を踏みしめる感覚を、やさしいコーヒーの香りを、心の平和を、周りに揺れるほのかな愛を、時計の針のチクタクと心臓の音がシンクロする感覚を、そんな命が背伸びして宇宙と繋がれる心地よさの中で飛ぶ鳥のように、少しでも痛みの声がやさしくあなたに語り書けますようにと、祈りを捧げます。記憶の中のあなたはやさしい。