バナナ

here-there2006-07-19


ただいま。と言ったら
世界はおかえりなさいと。言ってくれた。
心は常に旅をしている。居心地が悪くなると、体を捨てていく。捨てられた体は重力を知り、言葉は沈黙を吐き散らす。世界に閉じ込められた体。体が覚えた汚いヌクモリへと、美しい華の枯れた姿を求める。波の打ち寄せる砂浜の時が止まり、砂漠へと枯れていく。
耳へと吹きかける声が旋律と、太鼓の打ち鳴らされる鼓動が心臓を叩き、目覚めた。どうやら悪いデジャブでしょうか?その黒く気持ち悪いもの知ってる。
嗚呼、嗚呼、轟く産声のような死声。その声はお空の上の風とハーモニーを合わせ、鳥達とハミングした。目の前を羽ばたく、蝶が瞬く間にフラッシュバックさせた白い夢。
それはやさしいが、あー嫌だ、あれだ、あの映像だ、20万人の体を一瞬で焼き付くした映像だ、紙鶴の舞う夜空と揺れる炎と燈籠。揺らぎは哀しみに震える心と未来の平和。
時を越え、海を越え、すべてを越える旅へ、飛び立つ魂よ。私と居ておくれ。あなたがいないと孤独すら感じないじゃないか。あのヌクモリを知るのはあなたじゃないか。私は奴隷さ、世界の奴隷は二日ともたない。せめてあなたの奴隷でいさせて…。
掴むことをやめたよ、蝶が起こしたスーパーノバの果てに私はみたんだ、ひらりと風を撫でゆらりと響く蝶の姿を。少しの涙が指を滴り風が吹いてるのを教えてくれた。
手放すよ、このやわらかな指先の掴むもの。私は奴隷、あなたの奴隷。
風が止んだらそこが家となるでしょう。光を追い求めるがあまりにここは光の中、世界は幸せそう、そこで光を探すのは、迷子さ。夜の訪れを待つ。響き合うベルの低音が体温も重ね合う、それがヌクモリでした。
その手、放してごらん?風が吹いているのわかるだろ?やわらかく、深呼吸するように、それが未来だ。
掴んじゃだめだ、そっとやさしく撫でるんだ、ジョージの愛のように、そこに何かあるんだ。
ただいま、世界。あんたはいつもおかえりって言うように美しい姿をしてるね。