良いイメージとは自分で作るものだが悪いイメージは他人が作るのである。
ある女優がいたとても優秀で演じられない役などなかったが唯一の欠点は、自分を演じることはできなかった。気付けば遥か昔に死んでしまったかのように。
自分を演じるというのは違和感のある言い方だが、彼女にとっては自分ですら演じる対象なのだ。気付くと疲れるほどに自分が理想の影に拡張されていてどうも演じきれない自分というものが憎い。自分というものを呼び起こし感じるには、鈍感なのだ。あれほどに他人を感じる彼女にとって自分というものは遥か彼方の存在である。