1コマ

ある日常の1コマ。
男は心臓を彼の胸からえぐり出して、女の前へ差し出した。心臓は彼と繋がったまま大きな鼓動を響かせている、彼も彼女も平然とニコリとしたままだ。
すると彼女は子宮を開いて、あの鼓動の音を民族の太鼓の音のように、子宮からメロディーを生み出した。
それは二人の音であり、生やさしいものではなくお互いを傷付け合う、寸前の快感で止まるような。果てしなく遠い次元の音、やがて雨が降り、二人は痛みを抱えた顔をしかめて、別々の道を歩いていった。