紅葉

壊れたら元に戻らないと、繋ぎ止めていた、折れた茎と葉も秋の風に枯れ始めた。春からずっと奇跡のように色を変えなかった葉がとうとう。
何か一つ消えていくのは絶望と紙一重の希望が絶望になるのではなく忘却、それは幸せな忘却、痴呆な程に幸せな暴挙に消されていく、希望。
絶望を呼ぶ唯一のものは希望、絶望を覆うのも希望。
ただ人々が、毎日温かいご飯を幸せと感じ生きていれば、良いと願う。少しでも多く幸せな食卓が増えていけば、日の沈む切なさも、暖かな電灯の明かりに抱かれていく。色が変わってもカタチは変わらない、それが想い出。
カタチが変わっても色が変わらないそれが生きてるということ。
溜め息って意外と温かい、もしもこれで幸せを失うとしても、温かさが風に乗って僅かな幸せをどこかへ届けるかもしれない。
秋風さんよ、熱くなりすぎたものをやさしく落ち着かせておくんなさいね、糸がぷつりと切れてしまう前に。