タッチ

失恋しても、空はきれいね。by鈴木いずみ。
夏の音色が騒がしいほどに耳を刺す。氷から溶け落ちる雫指先をなぞった。
頬を伝う指先、それは夏の熱にヌクモリを失った手、日差しの影から何度も伸びる手。
信号のように正確さだけ意味を持たない言葉をふるわせる声が耳にふれる。空白の目に、映る幻は目の前が時間を越えて存在するたしかな影。
胃の痛みは懐かしい、傷跡思い出すように開く、真っ赤に染まった花が夏の日差しに揺れて、枯れていく。
遠くへ遠くへ連れていって、深く深く抉り取って、黒く黒く塗り潰して。
世界中の誰よりも愛してますby上杉達也