そこへ

多分失うため、最初から、傷つくため。
あのフィルター越しの世界。それを通じて感じたもの。
口からでたモノは言葉に。
耳から入ってきたものは音楽に。
目に映ったものは絵に。
その世界は美しかった現実。
その世界へ行くための穴が傷む
そこを埋めるための、言葉、音楽、絵。
できるだけ美しく、悲しく、鮮やかに。
記憶の方が美しいから、忘れることはできないから、愛しいから。
まるで白昼夢、素敵な目覚めの夢。
だって、殺してくれると思ったから
死後の再生ボタンを押すために
刺してくれると思ったから。
空白、静寂、そこへ
そこへ