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それは一本の完成された映画。編集も終わり全てが完成された映画だが、誰も見ていない。それを手にしたヒトは世界で自分が最高に幸せだと思い込み。焦ったのか、死に急ぐように、再生を押し、終末ばかり気になり、時に過程を意味のないもののように早送りのボタンを押す。乱れた体が不意にその早送りを押していた。エクスタシーに浮いた心を地に叩き付けるような終末。六月の雨、梅雨というのでありがたみもなく、むしろ迷惑な気持ちすらするが無駄にカラダを洗い流す、人工的なシャワーのためといい聞かす。
やさしく生温い雨の中、むせた、こみあげるものと喉の不快感に涙した。
六月の雨。 世界が涙すれば、砂漠に命が生まれる?いえ塩で枯れます。なぜ海は生命の母なのか?それはそこに命が望まれているから、涙するほどに悲しく。深海にも命が生まれるほど。失われた命の生きる場所。あの人は魚のような目をしていたでしょ?魚は動いていないのよ、ただ見るものの目が踊ってるだけ。