時計

心臓の音を聞かない日が訪れることをただ待つ。体の内側から我を打ちのめす音に耳を奪われぬことを願う。
ふと時計が止まったのを見て、そういふ物なのかと問う、その止まるという動作に永遠を想ふ。
手からその永遠がするりと抜けた瞬間から、我は心臓の音に打ちのめされたのだ。生きるという事を胸に刻む音も、切り刻むように、ザラリザラリと傷口を撫で、それを生の快楽への代償とす。