かき回す

この世に絶対というものがないというのなら、絶望もない、絶望もできず、か細い希望に縋って生きるしかない。
四角い水槽の水面に飛び散る白い水しぶき、その中にうずくまったマネキンが沈んでいく、手足を縛られたマネキンだ。
生死とは程遠い、沈んで、浅い底で溺れももがきもせず息を止めた。
薄紅色の花びらが水面に舞い降りて、波紋が小さな歪みを招く。風に乗っていた鳥の一羽が突然、崩れ落ち砂埃をわずかに起こし、キュという声を漏らして横たえた。

絶望するとはどういうことだろう、挫折とは次元の違う絶望、想像のつかない程の無。
全てを否定する白という色、全てを飲み込む黒という色、私は、汚され、犯され、侵され、黒く塗りつぶされたい。
黒くありたい。全てを受け入れた果ての黒。
どうしたことか、実感というものが、ここのところ長い間、失われているです。