あの人

最近なぜか、あの人を思い出す。
あの人との思い出を浮かべてみたり、それはとても普通の思い出。ただ、他の人は普通でないことが多いので、きっと今の退屈な生活にはマッチしないのであろう。
あの人だけはとても生活感のある人だった。
あの人の影はいつも、日常の街のいたるところにある。それはつまり、バナナを見て、あの人はきっとこんな顔で、おいしいと言いながら食べる顔が容易に浮かぶほど、普通な生活。
ただそれはとても美しいもの。
愛した獣は、バナナを見たら嫌な顔をする。とても非日常的な感覚の中で生きていた、獣としての記憶。あぁそれは本能としての日常であったが、とても理性には非日常的なものでした。