再生

止まってしまった時がゆっくりとまた動き始めてる。
実は、腕時計の針が止まっていて、これは縁起悪いなと土曜日に電池を交換した。
少し意味あったかな。
で、彼女がある場所は時が止まっていて、ある場所は過去になっていくと言った。
何でさ、短大のミスになったなんて写真送ってくるのか、バカ、綺麗じゃんか。変な行動。
会って一杯のカクテルとサプリメントを飲んでた彼女、会えばファッションチェックをしあった彼女、あんたはロングが好きなんだねって言ったあとエクステを付けてて、本当にあたしに似合ってる?なんて本気で聞き返してきた彼女。服やメイクで雰囲気の変わる彼女。
思い出の再生ボタンが自然と押された。
そんな彼女が大切。
悲しい出来事は、俺と彼女の早送りのボタンを押した。
未来が、走馬灯みたいに見えたわけじゃなくて、チャプタースキップを無理矢理押され、押し付けられた俺達の未来。
混乱したよ、混沌とタブーを犯した罪。それはとても重いものだった。
それは結局存在しえないものなのにも関わらず、不信感を煽るだけだった。
時に時はスロウに見えたり加速することもある。
未来は俺達が日々の一歩を着実に踏み続けて、手にするものだ。
飛び跳ねて、スキップしてもそこに未来はなくて、闇の穴。失望する。
再生していきたい。
彼女と共に歩みたいって改めて強く思った。
共感できるからこそ、共に成長したいと思える相手だから。
きっと俺達の探し物は見付かる。
いかれたBabyが心に滲みた。
悲しいときに浮かぶのはいつでも君の顔だったよ。悲しいときに笑うのはいつでも君のことだったよ。
気付くと、思い出って美化されてる、人間悲しい思い出をいつまでも握り締めてる程、強くない。
俺の今は、人生においてのリハビリ期間だと思うんだ。
犠牲はあった、俺の泥まみれの生活。脱け出したくても、なかなか脱け出せなかった生活。
一歩踏み出して、俺が一人で歩き出会った景色ってのは今までと違うもので居るべき場所を指し示してた。
そして出会ったのが、彼女だったから、過去の罪を乗り越えたら、共に成長できるのなら、きっと前へ進める。
不思議な気がしたんだ、俺のカルマも、そして彼女と同じ名前で癖のある女性は、俺のことソウルメイトだなんて言って気に入ってくれた。いつもは人を貶すというのか、人に厳しい女性らしいけど、スッと受け入れてくれた。彼女自身が彼女自身と向き合い続けていて、厳しく生きてきた人で、感覚、感性が鋭い人だった。
それから湧き上がり始めた感情もあるのは事実。何か共鳴したのかもしれない。
そして景色は変わり始めた。
澄んでる、自分の感覚が戻ってきた。あぁこれはカンナビスの効用に似てる。高揚感。
イケる。
俺は今までの俺の力不足で手に入れれなかったもの、手にできるように、踏み出せる。
ある種のGOサインはもう出た。
今日は、過去に本気で好きになったキャバ嬢の事を違う視点から見れた。
聞こえ悪いけど、騙されたなんて世間的に言えば言える。
でも俺の力不足だった。彼女を守りきる、経済力もなかったし、精神的にも、彼女に対して安心感を与え切れなかった。未熟だった。
だから終わった。
彼女は今、きっと新しい生活で頑張ってる。
きっと俺が彼女の最後の客、神様が最後に二人だけの時間をくれたことに感謝してる。
彼女は仕事としてやりきったよ。俺が好きになるくらい。
キャバ嬢なめんな!って笑えるほどあいつの仕事っぷり言い表してるな。
遊びのなめたキャバ嬢共の相手なんかしてられるかって、彼女のおかげで、今じゃキャバ遊びもなくなった。
またキャバにいくことはあるとは思う、けど遊びじゃねぇよもう、出来た女と話しに行くとかそんな感じだろな。
客として、キャストとしての節度、そしてお互いが大人として話せる場所ならまたいくことはあるだろう。
Aにはいつかまた会いたいな。来世でいいけど。おまえが認める男になるから。そしたらまた会おう。神様、その時はまた巡り合わせてね。
お互いしばらくもう会えないけど、格好いいままでいれたらって。腐るなよって。
Aのおかげで、俺は彼女に出会えて、好きになれたと思う。
Aの前の女だってそう、繰り返すカルマに嫌気もさしたけど、少しずつ変わってきてる。良くなってきてる。
いい夢見れそうだ。